象牙の塔4階2号室・改

アスペとADHDの高専生によるブログ(不定期更新)

January 25th 陰関数定理許さん

タイトル通り「陰関数定理」にまつわる少し苦い経験を述べる回

テスト勉強に追われている最中、別の課題の一つに一日以上費やした挙句その成果を陰関数定理にパーにされてしまった(後述)

陰関数定理に苦しまされたのは三度目。泣きたい

一度目:高専三年生「解析学Ⅱ」期末?試験

通常90点は固い数学で88点をとった原因が陰関数定理だった。多様体を使う高尚なものではなく多変数に限定したものではあったものの陰関数定理の主張を間違たためにその一点で一気に点をひかれてしまった。当時高得点が当たり前だったゆえの悔しさのあまり壁に「陰関数定理を許さない」と墨で書き、引っ越すまでの数年間自室に通じるドアに張り付け、二度とこのようなことが起きないよう誓ったはずだった

二度目:数学科三年「幾何学Ⅰ」期末試験

陰関数定理:f\colon M\to NC^\infty写像q\in Nとしたとき、f^{-1}(q)の各点が正則点、すなわち任意のp\in f^{-1}(q)に対して微分(df)_p全射ならばf^{-1}(q)Mの部分多様体となる。

テストで「ここ出ますよー」と誘導され、自分も一度目の苦い経験から勉強したつもりではいたが、理解が足りていなかったらしく惨敗。演習問題による点数の貯金があったために評価自体は平均的なものに収束したが、問題の箇所の解答は何のひねりもないただの作業だったのが追い打ちをかけた。

三度目:数学科三年「幾何学Ⅲ」期末レポート

経緯としては、昨日昼頃から複数人にて、数時間苦心して解いたはずの小問題1つが、先ほどまで再び数時間かけて検証したところ実は肝心の陰関数定理が使えない状況だったがために解けていなかったということである。

問題は次の通り。

\mathbb{RP}^n\times\mathbb{R}^{n+1}において、T=\{(L,v)\mid v\in L\}が部分多様体になることを証明せよ。(ただし\mathbb{RP}^n\mathbb{R}^{n+1}1次元部分空間全体とみなす)

すなわちTに入る条件は、vが直線Lに入ることであり、これより「点と直線の距離」が0になればいいと考えられる。しかし実はこれは巧妙な罠であり、微分(df)_pで登場するf偏微分係数について、仮にp=(v,L)\in Tとした場合、(他を固定した1変数関数と見なすと)fはその点で最小値をとることから偏微分係数は0になってしまい、結果として正則点がないことが導かれる。従って陰関数定理が使えないことが導出されてしまった。

January 19th 高専との不協和。価値観の違い

明けましておめでとうございます(今更ですが)

マイペースなので年頭所感を発しませんでした

一般的高専生との価値観の違い

今でも独り言で「高専やっぱ向いてなかったわ~」とつぶやくほどに高専と決定的に価値観が合わなかったがために今九大理学部数学科の三年生とかいうよくわからないことになっている訳なのですが、ちょうど今自分の頭の中で、高専との間に起こした不協和についてうまく因果関係が判然としたため2026年最初の記事として、そのような事態を引き起こした一般的な高専生との価値観の違いについて書きます。

初めに自分のような社不と比較した際の一般的高専生の特徴・性質について述べます。たとえば数学のことなど、悪く言ってしまえば就職関係以外のナニカが常に脳内を駆け巡っているのが私です。それに対し一般的な高専生というのは、(人により個人差はあれど)いい就職をするために門をたたいたちゃんとした人が大半でして、現にとある年の高専全体における、「就職希望者に対する就職者」の割合が100%(四捨五入なし)だったりと、高専の「就職予備校」たる目的上就職のために頑張っているというのは多いです。もちろん一般的な高校生も就職のために、就職と本質的に関係しているのかわからないような勉強やレポートを頑張るのかもしれませんが、少なくとも高専とかあとは大学の工学部なんかがそのような目的で建てられた以上私のような、将来に邁進することよりもなんか象牙の塔に引きこもるような人とは頑張らせるモチベーションが違っていたため合わなかったということです。

であるからして中学から高専に上がる際に落ちこぼれた「ように見えた」ことも説明がつきます(自分は高専進学後二年以上成績が底辺でした)。中学が、地方都市の中では最上の一つだったことにより、まるで「純然たる向学心を持っているかのように見える人」という例えば某〇〇館とか〇〇研でGTRだとかまるで何かの車種かのようなクラスに属している出来のいいのが少なくなかったため、自分と周囲とのモチベーションの違いについて意識することがなく、結果的に自分も将来のために勉強している側であると錯覚したために高専に進学するという愚行を犯したわけです。すなわち中学在学中から問題は始まっていたということです。(結局はそのような「純然たる向学心を持っているかのように見える人」というのも実際はほとんど医学部だったがために今となっては一般的高専生と、モチベーションの面ではそれほど大差はなかったわけなのですが。)

今数学をしているのは中世における芸術復興であったルネサンスのような、純粋に勉強していたころに戻ろうというある種の懐古主義の一環でもあります。本来自分はベッドで寝ころびながら図鑑を読み、人前で知識をひけらかす嫌な子だったのですが、勉強ができるということで親や周囲の社会人に目をつけられ、将来のための勉強と仕向けられてしまったために最終的に高専で失敗しました。そこでこの活動によりかつていた聖域を取り戻すということを目的にしてここまでやってきたというわけです。そもそも目的が混入した純粋でない活動をしている時点でかつての自分とは程遠いですが、今年は大学院受験も控えているということで今年はぼちぼち頑張っていこうかなーと思っている次第です。

年頭所感といえば

話は変わりますが年頭所感で思い出したのがRIMS(数理解析研究所)の望月新一先生のブログ「新一 心の一票」。年一回のみ、年始に更新されるものですが、今年は読み応えがありますね。LEANというものについて触れられていますが、これはMicrosoftの開発した証明支援ツールと呼ばれるものの一つで、このようなシステムにはほかにもCoqなどがあげられます。これらのツール(自分はLEANにしか触れたことはない)はプログラム状に形式化された「証明」を、ソースコードよろしく打ち込んだものがリアルタイムでシステムにより解釈されるという支援の形態をとっている訳ですが、実際読んでもわからないのでネットに「Natural Number Game」とかで歯ごたえのあるチュートリアルが出てきます。

LEANといえばこれはシステムの根幹をなす原理だと勝手に解釈していますが、自分が情報系から数学系にシフトさせた橋渡しの一つが、「カリー=ハワード同型対応」と呼ばれるものでした。これはつまりソースコードと証明とが対応する、確か正しい出力を行う関数のソースコードを証明と見なすとかだったと記憶してますが、これを知った当時高専二年、高専に不満を募らせていた情報系人間は高専の、今思えば少し狭い図書館の中で、自分のしてきたパソコンカタカタが、本質的に数学しているのと変わらないんだと感じた覚えがあります。

September 1st 3年前期学生生活まとめ(前編)

はてなブログにおけるCSSの表示がなされない不具合に直面。見た目がインターネット黎明期よりひどい。不便だ……。

記事の量が膨大になることから複数に分割する予定。

九州大学数学科に編入してから今まで

今まで生活に慣れるのが大変だった。いいこともあった。ここでは、

  • 周辺環境
  • 授業
  • ゼミ

の3つに分けて話す。

周辺環境

周辺環境の面では、九大の立地に悩まされた。伊都キャンパスという福岡市と糸島市の境目にある山を切り開いて作られたキャンパス周辺に住むとなると、やはりスーパーや商業施設がないこと、および周辺の獣臭さには目をつぶらなければならない。商業施設の少なさは伊都キャンパスが大学全体のキャンパスの中で割と新しいことが原因だと考えられる。獣臭さに関しては田園地帯の中にヤギの飼育場があるため、確証がないのだが付近では家畜が飼われていることが原因だと考えている。

ただし居住している地域は福岡県南部の農村地域と違い、筑肥線1本570円で九州地方最大の都市でかつ、(地元民からすれば)三大都市の1つである博多に行けるため、運賃さえ払えば北九州より文化レベルの高い一日を送ることも出来る。これで前期の半年だけで2,3回も終電のお世話になった。(570円で博多に行けるものの、伊都キャンパスから最寄り駅「九大学研都市駅」までは距離にして4km以上離れていることに注意。)

伊都キャンパスそれ自体は立地以外の面で素晴らしかった。東京ドーム約58個ぶんもある敷地面積の広さによりパーソナルスペースが確保しやすいこともさることながら、広い図書館が2つ(中央図書館は特に)もあり、バタワ(ウエスト1号館)のセミナー室は数学科の学生が次週やゼミで容易に利用できるほか、学食や売店も複数あり食の選択肢が増えたことなど、高専の時と比べてもはるかに快適になった。

選択科目

選択科目に関しては一般的な専門科目のほかに編入生用に補習授業があったため、1,2年で習っていたであろう基礎的な事柄の確認は取れてありがたかったのだが、これにより時間の余裕が少なくなりしんどさを感じる要因となった。さらに、授業履修で何も作戦を練らなかった一方で、8単位取得すればいいところを20単位取得出来たら4年が楽になるという理由で、教職以外のすべての授業(月から金の10:30~12:00,13:00~15:30)を履修したこともしんどさに拍車をかけた。

九大数学科(に限らず一般的な大学の数学科)の3年に開講される科目は授業90分と演習150分の二部構成となっている。ここで高専時代と違って出なくてもいい(出席を先生が求めない)科目が3つあったが、北九州高専では欠席自体イレギュラーなこととして扱われていたために大学の授業スタイルにあまりなれず、自分は代数学の1回を除くほぼすべてに出席した。休みを取らなかったことに少し後悔している。

科目自体の難易度は適正だと感じたが、高専で習ったことに近い3科目が最高評価のSやAだったのに対し、数学科独自の数学は軒並みBだったため後期では改善したいところである。

ゼミ

最後にゼミ、断りを入れておくと学生たちによる自主ゼミなのだがそれに関して、せっかくの数学科で頑張ろうとしてゼミを2つ入れた影響でただでさえ余裕の少なかった時間にさらに余裕がなくなった。一方で、ゼミに参加することで学生同士で交流ができ、編入生にしては知り合いが増えたこと、ならびにより良い発表法や勉強法を学べたことは、小セミナー室で学んだ数学の中身以上にゼミの活動ををより意義深いものにしてくれたと感じている。

April 21th 何とかする

「数学強い」と言われてしまっている高専では(自明だが)大学数学をしている人が少なかったので数学科に来てから数学の難しさや大学院レベルの数学もかじってるやつにカルチャーショックを受けています。高専なんか一番難しい数学とか高専入試のだろ

今のところの感想、 * 幾何学位相空間論が終わらなかったために連結を使った証明ができない! * 解析学…授業でσ-加法族や生成されたσ-加法族ぐらいしかやっていないため未知数 * 情報数学…唯一高専が生きる場所 * 代数学…雪江代数を進めていたため耐え * 統計数学…理論意味不明 といった具合に数学が追ってきます。また、線形代数微分積分・位相に関する編入生向けの補講も特に線形代数編入生の中でも一番だめで、雪江代数第2版の前書きに名前が出ている先生に自分のなんもわかっていない答案を数十秒見られたときは本当に恥ずかしかったです。

九大の数学科は、高専などという数学が退屈な学校より明らかに充実しており、望んでいた環境ではあります。ただ、逆に自分が周りから退屈な人になっている現状が恥ずかしい。

April 3rd 入学式に潜入した編入生

今日は入学式だった。途中にガスの開通の手続きに行かなければならなかったために最後のオリエンテーションだけ行けなかったのが非常に残念。これに関しては後で録画を確認する。

入学式は本来なら編入生は来てはいけない(想定されてない)場所であると、昨日直接教務課に確認した。しかし、受付がザルだったことと、席が自由に座れたため編入生ながら「モグリ」として参加できた。

入学式の途中、横の人に話しかけられた。曰く、数学科と地球惑星科学科らしい。このような場では私が主導すべきなのだろうが、どうも上手くできず。結局その新入生の働きかけでLINEを交換した。その後高校の話になり、私が次から3年なのに入学式に来てる奴であるとカミングアウトしたものの両者ともに変わらず接してきたのが嬉しかった。

入学式では、石橋総長が九大の素晴らしさについて雄弁していたのが印象強い。そのような様々な話を聞いたあとの九大の印象であるが、やはり高専の工学系の人材しかいないあんな学校とはうってかわって様々な人がおり、刺激が溢れていることと、あの日本一のクソデカキャンパスに機能を補完するように様々な、そして広々とした建物があちこちに存在し、それらが小気味よく並んでいることの2つに感銘を受けた。周りは皆18歳19歳だからだろうか初々しさも眩しかった。正直言って1年から入学できなかったのがもどかしい。

ガスの点検の後、私は入学式から出てきた新入生に紛れてサークルの勧誘チラシを受け取りに行った。どこも活気があった。

関係ないが自宅の家具の組み立てが終わった。もう手を細かく動かす必要がない。

April 2nd 九大で色々した

誕生日を迎えた。21歳になった。

いつもと違う日ではあった。しかしながら違うのは誕生日たる特別な1日といった側面よりかは、新生活2日目の側面の方が強かった。

今日は手続きと散歩のために九州大学伊都キャンパスの方に足を運ぶことにした。

家具は完成していない。明日は入学式である。

学生課に直接行った

高専の卒業証明書と成績証明書を提出した。編入学に必要なもののうち特に重要なものを提出したのでひとまず安心である。

安全のため卒業証明書は九大のウエスト1号館(別名「バトルタワー」)、学生課に直接出した。成績証明書は必要ないと判断していたのだが口頭にて求められたため、親に郵送で送ってもらった。

学食を初めて利用した

コーラまで買ったので687円だった。高専のランチより少し高め。

事前情報だと混むと言われており、本来なら理想する予定があまり無かったものの、今日は授業が始まっていないためか余裕で食べることができた。それでも受験生もいるためにかなりの人が利用していた。

図書館を初めて利用した

系図書館を初めて利用した。

自分は高専に入った理由も、1つが図書館の蔵書が豊富だというものであった。しかしながらやはり一介の高専旧帝大(一応)では規模がまるで違った。

伊都キャンパスには図書館自体が2つある。中央図書館と理系図書館である。このうち中央図書館は蔵書数が国立大学の中で京大に次ぐ3番目、図書館全体だと国会、東大、京大、早稲田、日大に次ぐ6番目であり、特に早稲田や日大とはそこまで変わりがない。文系のエリア、イーストゾーンに位置する円形の図書館だ。

今日見たのはもうひとつの理系図書館である。理系図書館は4階からなり、地下に1階と地上に3階分ある。地下には自動書架があり、古い蔵書や雑誌が格納されている。

私の惹かれた点は数学書の豊富さにある。1階の時点で高専と比べると数学書の数も数倍多い。高専の専門分野に関する専門書だけでみても九大の方が多いと思われる。2階は確かそのような工学系の本が置かれていた覚えがある(実際に高専の先生の本を調べたら4冊が並べて置かれていた)。また、3階の半分以上を占めるのは洋書の数学書である。これは数理学府のものであるらしい。どうやら3階はかつて数理学研究科が使っていたと聞いたのでそのためだと思われる。

April 1st 今日から九大生?

暦の上では今日から4月らしい。4月は春真っ只中のはずである。しかしながら気温はまだ薄手の上着を着るほどには寒い。エイプリルフールの冗談だと思われる。

エイプリルフールはまた企業や大学の新学期の始まりでもあり、今日も各地で入社式や入学式が行われた。私もこの度九大の方に入る運びとなった。(ここの入学式は4/3。)そしてこの新学期の始まりに併せて私も実家を出て、今度からお世話になる大学近くの学生マンションにて暮らすこととなった。そのため今日は寒い外にいたのではなく、大半を新居の家具の整備などに費やした。

未だに完了しない入学手続き。失敗するとただの高専卒無職である。